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  ニュース     2020/03/27 18:59

中国企業「人工呼吸器」大増産、欧米需要が急拡大 無料記事

 新型コロナウイルスの感染エリアが世界各地に広がるなか、重症患者の治療に欠かせない「人工呼吸器」が極度に不足している。「足元世界需要は、最低でも生産量の10倍規模に上る」と試算された。感染者が急増している欧米国家は、中国製品の買い付けに動いているものの、急拡大する需要に追い付いていない。中国メーカーはラインをフル稼働させても、足元受注を消化するのに4〜5月まで時間を要する状況という。21世紀経済報道が27日付で伝えた。

 中国医療機器メーカーの江蘇魚躍医療設備(002223/SZ)では、人工呼吸器の日産量を感染前の300台から700台までに引き上げたものの、4月末まで受注で埋まっている。深セン邁瑞生物医療電子(300760/SZ)もすでに海外から呼吸器数万台の注文を受けた。

 北京戯安医療系統(BEIJING AEONMED)は1月20日から24時間態勢で呼吸器を量産。2週間前に国内受注を消化し、足元で海外需要に対応している。3シフト勤務体制を導入するとともに、研究開発スタッフまでも生産ラインに駆り出して大増産に努めている状況だ。

 中国の医療機器通販サイト「貝登医療(vedeng.com)」の幹部は、自社サイトへの呼吸器注文件数は1日60〜70件を数え、1件当たり数百〜数千台の購入需要があると現状を指摘。うちほとんどが各国政府による発注だと説明した。

 新型コロナ危機がパンデミックの新段階を迎えるなかで、欧米の人工呼吸器不足は特に深刻だ。欧州連合(EU)は、「域内の足元生産能力では需要の10%程度しか満たせない」と報告。英国も国内の呼吸器不足を最大2万台と試算した。新型コロナが猛威を振るうイタリアでは、極度の呼吸器不足から医師たちが治療をしない選択をせざるを得ない危機的な事態に陥っている。

 また、米国集中治療医学会の推計によると、全米96万人の感染患者が人工呼吸器を必要としている一方、供給可能量は20万台にとどまっている。

 こうした事態を打開しようと、大手自動車メーカーなど異業種製造企業が人工呼吸器の生産に乗り出す動きが世界的に広がってきた。

 トランプ米大統領は、テスラ、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)が人工呼吸器の生産許可を得たと表明。これら車各車に事態解決の支援を要請した。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、呼吸器の共同生産に関して英メドトロニックと商談したと語っている。

 このほか、ホンダ、日産、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)、エアバスなど大手メーカーも、これ以前に人工呼吸器など医療機器の生産支援を前向きに検討していると表明した。


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