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  ニュース     2020/02/26 18:59

鉄鋼減産すべき、鋼材在庫も急増=中国業界団体 無料記事

 会員の鉄鋼メーカーに対し、業界団体の中国鋼鉄工業協会が減産するよう要請している。春節中も高炉(溶鉱炉)と転炉(銑鉄を鋼に転換する精錬専用炉)による一貫生産態勢が続行される一方、物流網の停滞、川下需要の減退が同時に生じていると指摘。鋼材の在庫が積み上がるなか、鉄鋼製品の値崩れが始まっていると警戒感を強めているという。経済日報がこのほど伝えた。

 中国鋼鉄工業協会の会員企業は、建築構造用鋼材を主に生産する電気炉(鉄スクラップを原料として鋼材を主に生産する炉)の大部分が21日時点でまだ稼働していない。なかでも湖北省、四川省、重慶市、広東省、浙江省では、電気炉の再稼働率が35%に満たない低水準にある。

 半面、高炉と転炉の稼働率は、春節前後も高水準で推移した。稼働した工場は、全国の96%に達している。新型肺炎が流行しているにもかかわらず、安定的な生産が続いた。

 こうしたなか、大手企業が保有する鋼材在庫は急拡大。2月上旬の在庫は、重点企業全体で全国1851万トンにまで積み上がった。1月下旬比で545万トン(41.7%)、年初比で998万トン(92.2%)ずつ増えている。また、全国20都市の5大鉄鋼製品社会在庫は2月上旬で1471万トン。1月との比較で652万トン(79.6%)、昨年12月との比較で789万トン(115.7%)ずつ増加した。

 半面、中国鋼鉄工業協会が統計している「CSPI国内鋼材総合価格指数」は、2月17〜21日の週に100.55ポイントにまで低下。前週比で1.40ポイント、春節前比で3.31ポイントずつ下落した。2019年の最低値(104.28ポイント)も割り込んでいる。

 経営環境の悪化が進む事態を懸念し、中国鋼鉄工業協会は減産を推奨する立場。生産設備の点検、原材料調達の抑制、資金の確保を優先するよう呼びかけた。

 同協会の統計によれば、中国の粗鋼生産量は過去5年にわたって総じて拡大。累計で1億7600万トン(↑21.9%)を増産し、19年の生産量は概算9億8000万トンにまで積み上がった。


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