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  ニュース     2020/06/30 18:59

中国:広汽ホンダ「皓影」品質不安、試験団体にも疑惑の目 無料記事

 広州汽車集団(2238/HK)とホンダ(7267/東証1部)の中国合弁会社、広汽本田汽車有限公司(広汽ホンダ)が製造しているコンパクト多目的スポーツ車(SUV)「皓影(BREEZE)」を巡って、品質不安の懸念が浮上している。中保研汽車技術研究院有限公司(CIRI)がこのほど実施した衝突試験の結果だとして、Aピラー(フロントガラスを支える左右の支柱)が折損する様子を映した動画が一時出回ったため。動画を閲覧したある専門家は、海外仕様車と異なる素材が使用されたとする“ダブルスタンダート”疑惑を指摘している。21世紀経済報道が6月30日付で伝えた。
 もっとも、この衝突試験の結果について、真偽のほどは定かでない。試験動画は6月19日、CIRIの「中国保険・自動車安全指数(CIASI)」オフィシャルサイト上で公開された。「皓影」の低スペック仕様車に「25%オフセット衝突試験」と「側面衝突試験」を行った結果、断裂したAピラーが運転席に進入する様子を捉えている。ただ、運転席に乗せたダミーの傷害程度が低かったとして、試験結果に「良好」の評価が付与された。
 ところがこれらの情報はほどなく、サイト上から消失。試験の「公平性」や「中立性」の対する疑義も浮上している。実験を請け負った中保研汽車技術研究試験中心北京有限公司(CIRI試験センター北京)はその後、声明を発表。「先にネット上に出回った試験データは公式発表でない」と釈明した。「皓影」試験データを含む一部情報が盗難被害に遭った事実を確認し、すでに警察に通報したと事実説明している。CIRI試験センター北京に対する出資比率は、CIRIが65%、中国汽車工程研究院股フン有限公司が残り35%。
 一連の騒動について広汽ホンダの関係者は、「ネットでさまざまな憶測が流れている。CIRIの最終結果発表を待たずに、これらのうわさにコメントしない」と話した。
 一方、CIASIは、米国道路安全保険協会(IIHS)のテスト基準に則して策定された自動車安全指数。これまで消費者の信頼感が厚かっただけに、今回の不可解な騒動はCIASIの信頼性をも揺るがす事態に発展している。
 混乱の背景として、試験実施団体であるCIRIの複雑な株主構造を指摘する声すら上がる情勢だ。広州汽車集団傘下の自動車保険会社である衆誠汽車保険は、上海保険交易所股フン有限公司に出資参画。その上海保険交易所が出資する中国人民財産保険は、CIRIの立ち上げ当初からの株主となっている。ある業界関係者は、「CIRIは、各自動車メーカーから支払われる技術サービス料を主要収入源としている」と指摘した。
 CIRIは中国保険業界協会を筆頭とし、人民財産保険や平安財産保険など損保8社などが共同設立した非営利団体。中国国内で販売されている主要車種を独自に購入して、安全衝突試験を展開。その結果を基に、保険各社は保険料率を決定している。


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