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  ニュース     2020/07/10 18:59

「OLEDディスプレイ」競争第2幕、中国勢が韓国SDC猛追 無料記事

 有機EL(OLED)ディスプレイを巡るメーカー間競争が一段と熱を帯びてきた。有機ELの採用が急ピッチで進むスマートフォン(スマホ)向け市場では、韓国サムスンディスプレイ(SDC)の独走が続くものの、中国勢を始めとするライバル他社の猛追を受ける形で、そのシェアは徐々に低下している。ディスプレイの“脱液晶化”が潮流となるなか、中国企業が飛躍的発展を実現し、最大手を追い越すチャンスを得られるかどうかが注目されている。21世紀経済報道などが10日付で伝えた。
 有機ELパネルの一種である「AMOLEDディスプレイ」に関して、スマホ向け市場はここ数年にわたってSDCが90%以上のシェアを握ってきたが、2019年に微妙な変化がみられた。群智咨詢(Sigmaintell)のまとめによると、19年のスマホ向けAMOLEDディスプレイ出荷ランキングは、SDCのシェアが85.4%と90%を割り込んでいる。2〜6位は、京東方科技集団(BOEテクノロジー・グループ:200725/SZ)、中国科学院系の上海和輝光電(EDO)、LG傘下のLGディスプレイ(LGD)、維信諾科技(Visionox:002387/SZ)、天馬微電子(000050/SZ)の順。LGDを除き、軒並み中国企業で占めた。
 中国工業和信息化部(工業情報化部)直属シンクタンクの「賽迪智庫」によれば、世界のAMOLEDディスプレイ生産ラインは20年1月時点で、完成済みが25本、建設中が3本、計画中が2本を数えた。うち中国本土では、総額約5000億人民元を投じて13本を整備した。うち6本は第6世代となる。このほか整備中と計画中のラインが各2本ある。
 足元で建設が進められているラインがフル稼働する22年には、世界のAMOLEDディスプレイ生産能力は年3300平方メートルにまで膨張する見通し。うち中国本土の能力は、LGDの広州ラインを含めて1900万平方メートルに拡大。世界シェアは58%に上昇する計算だ。
 AMOLEDディスプレイに関して、中国の各パネルメーカーは新規顧客の開拓も急いでいる。京東方は米アップルからの受注獲得に意欲的だ。来年にもアップルのスマホ「iPhone」向けサプライヤー入りする可能性も取り沙汰されている。また、TCL科技集団(000100/SZ)子会社のTCL華星光電(CSOT)は、サムスン電子に向けて折り曲げ可能な有機ELの試作品を提供した。
 一方、足元でLGDのみが量産体制を確立しているテレビ(TV)用有機ELの分野でも、中国勢の動きは活発だ。TCLと京東方は、いずれも印刷式有機ELパネルの開発を積極推進中。印刷技術の採用を通じた量産コスト低減を狙っている。


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