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  ニュース     2020/08/27 18:59

中国:宅配サービス競争激化、1件当たり減収2割超 無料記事

 中国の宅配サービスで市場競争が一段と激化している。業界大手の配達1件当たり収入は、前年同期と比べて2割以上も減少した。単体でシェア30%以上を握る圧倒的な大手が育たない中、当面は価格競争が持続する見込み。業務内容が同質化している点も、価格競争に見舞われる要因となっている。中国証券報が27日までに伝えた。
 業界大手4社による今年7月の営業実績は、売上高が順豊HD(SF Express:002352/SZ)で前年同期比35.96%増の119億6700万人民元(約1840億円)、韵達(YUNDA Express:002120/SZ)で7.88%減の25億5000万人民元、円通速逓(YTO Express:600233/SH)で6.06%増の22億9800万人民元、申通快逓(STO Express:002468/SZ)で6.31%減の16億6700万人民元となっている。
 宅配貨物の取扱量は拡大が継続し、それぞれ順豊が72.36%増の6億3600万件、韵達が44.25%増の12億6800万件、圓通が37.91%増の10億6700万件、申通が23.51%増の7億8600万件で推移した。一方、貨物1件当たりの宅配単価は、前年同期比で順豊が21.0%安の17.87人民元、韵達が36.0%安の2.01人民元、円通が23.1%安の2.16人民元、申通が24.3%安の2.12人民元にそろって落ち込んでいる。
 少しでも利益を残すために、各社はコストの削減に懸命だ。中通快逓(ZTO/NYSE)は今年第2四半期に、単位当たり配達費用を17.1%引き下げたという。四半期ベースの純利益は、前年同期比5.6%増の14億5000万人民元に達した。
 ここで注目されるのは、中国IT大手の動向と言えよう。物流子会社の菜鳥網絡科技公司(Cainiao)を通じ、阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE、9988/HK)は業界にくさびを打った。菜鳥は百世(Best Expess)の筆頭株主でもある。このほかアリババグループは、韵達、円通、中通の大株主に浮上した。さらに申通株の購入権も先ごろ取得している。
 業界関係者によれば、中国の宅配業界は今後、「菜鳥」「順豊」「京東+テンセント」をそれぞれ核とする三大グループに集約される可能性があるという。


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