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  ニュース     2020/05/29 18:59

中国:車部品の「国産化」機運高まる、コロナで海外調達停滞 無料記事

 新型コロナウイルス感染の世界的大流行が続くなか、中国自動車メーカーが海外に依存した部品供給網の見直しに迫られている。税関統計によると、中国の自動車部品輸入額は19年に367億1000万米ドル(約3兆9524億円)の規模。高い技術を要するハイエンド部品を海外輸入に頼っているのが現状だ。「予備サプライチェーンの構築」と「部品調達の現地化」が業界共通の課題として浮かび上がっている。中国のスタートアップ情報サイト「36Kr」が5月28日に伝えた。
 ピックアップトラック・SUV生産の長城汽車(2333/HK)は、自社サプライチェーンの再構築を推進中。すでに部品の自前生産率を50〜60%までに高めた。トランスミッションケースやエンジンシリンダーなどの基礎部品は、すべて自前生産に切り替えたという。
 中国を最重要マーケットとみなす米電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA/NASDAQ)も、現地化を急いでいる。上海浦東空港の南40kmに位置する自社初の海外生産拠点「ギガファクトリー3」に関し、部品現地調達率を今年7月に70%まで引き上げる計画を表明した。主力車「Model 3」の中国産車に関して、現地部品調達率100%を実現する構えにある。
 自動車は1台につき3万点もの部品を必要とするだけに、コロナ感染拡大は中国車メーカーにかつていない部品調達圧力をもたらしている情勢だ。東風汽車集団の自主ブランド乗用車部門である東風乗用車の周徳元・副総経理は4月時点で、「コロナ感染が続けば、部品供給網寸断リスクが5月末から6月初旬にかけて顕在化するだろう」と警戒感を示した。同社は多くの部品を海外から直接買い付け、または一級サプライヤーに輸入を委託しているという。
 また、上海臨港新区内の「ギガファクトリー3」は、5月連休後の操業再開が一時遅延した。その理由について同社従業員は、「一部部品の海外供給が滞ったため」と明かした。
 テスラのサプライヤーであるアルミ合金製造の寧波旭昇汽車技術(603305/SH) も、足元で製品出荷の停止を余儀なくされている。米国の感染拡大で、二次加工先の現地企業が操業をストップしたためだ。同社は浙江省寧波市に本社を置くものの、製品はテスラ上海工場に直接出荷されずにまず米国へ輸出。現地で二次加工されてから、中国に再度輸入している。
 前瞻産業研究院のまとめによると、中国の車部品市場では外資勢が60%を超すシェアを掌握。乗用車向け部品に限ると、同シェアは80%超にまで跳ね上がるのが現状だ。ハイエンド電子制御部品やセンサー、ステアリングシステムなどの国内マーケットは、ほぼ外資の独壇場となっている。


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