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  ニュース     2019/12/26 18:59

中国:「使用済み車載電池」リユース拡大、蓄電池に転用 無料記事

 電気自動車(EV)主産国に大躍進した中国で、今後大量に排出される使用済み車載電池のリサイクル・リユース市場整備が急ピッチに進められている。「使用済み車載電池回収・利用全国試験エリア」の指定を受けた江蘇省は、2020年までに中古車載電池回収・利用システムのひな型を構築。「省内重点エリアで中古車載電池の100%リサイクルを基本的に実現する」との目標を立てている。中国政府系メディアが26日までに伝えた。
 車載リチウムイオン電池は蓄電能力が8割以下に低下すると、自動車用動力電池として使用できなくなるものの、その他領域向け蓄電池としてはまだ利用できる。使用済み車載電池回収・利用のモデル企業に指定された通信基地局運営の中国鉄塔(China Tower:788/HK)は江蘇支社を通じて、使用済み車載電池を補助電源に活用する取り組みを推進中だ。江蘇省内で18年4月以降、使用済み車載電池9600セットをリユース。廃電池に残された約60MW時(6万kWh)の蓄電容量を有効活用した。使用済み車載リチウムイオン電池600トンが鉛酸蓄電池1800トンを代替する。向こう8年内に、すべての鉛酸蓄電池を中古電池で代替。鉛酸蓄電池約6000トン分を退役動力電池2000トンで賄う計画だ。
 中国国家電網有限公司(STATE GRID)傘下の国網江蘇総合能源服務有限公司も、中古車載電池の蓄電池への転用に動き出す。南京市江北新区で建設を進める容量45MW時の充放電所は、使用済み車載電池を蓄電池システムとしてリユース。2020年上半期の稼働を予定している。1回だけの充放電で、180世帯電力需要の1カ月分を満たす計画だ。
 このほか江蘇省では、使用済み車載電池の“地産地消”を目指す。中古電池は輸送過程で厳格な温度管理が求められるなど、輸送コストが高くつくためだ。回収・仕立て直し・二次利用の廃電池リユースプロセスに関し、江蘇省はすでに「地場消化」の条件が基本的に備わったという。
 中国では、13年に新エネルギー車(NEV)の大規模普及策が始動した。車載リチウムイオンの一般的な耐用年数を踏まえると、20年に大量の使用済み電池が排出される見通し。中古電池の二次利用促進に向けて江蘇省は今年5月、「NEV動力電池回収利用産業連盟」を発足した。使用済み車載電池を巡る情報交流、企業連携などを促している。
 盖世汽車研究院によれば、中国の使用済み車載電池は、25年の総容量で137.4GWh(1億3740万kWh)に達し、18年の20倍に膨張する見通し。リユースを含めたリサイクル市場規模は370億人民元(約5790億円)にまで拡大すると予測されている。


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