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  ニュース     2020/03/30 18:59

ZTEは通期に黒字転換、新型コロナ現時点で影響なし(詳報) 無料記事

 通信機器・設備メーカー大手の中興通訊(ZTE:763/HK)は27日引け後、2019年12月期(本決算)の業績を発表し、純損益が51億4787万人民元(約778億円、希薄化後EPS:1.22人民元)の黒字に転換したと報告した。前年は69億8366万人民元の赤字。売上高は6.1%増の907億3658万人民元に拡大している。1株当たり0.20人民元の期末配当を実施する方針だ。
 マイナスの特殊要因がはく落する。イラン・北朝鮮への禁輸措置違反に関連し、米当局は18年4月、ZTEに対して米国企業からの部品調達を7年間禁じる制裁措置を実施。これを受け、ZTEは主要業務が一時停止状態になるなど厳しい経営を強いられた。同年6月、米中貿易協議の一環としてZTEは米当局と制裁解除で和解。ZTEは10億米ドルの罰金を支払い、同年7月に制裁措置が解除された。
 本業も堅調。部門別の売上高は、コンシューマー向け設備が21.9%減の149億9740万人民元、法人・機関向け設備が0.8%減の91億5480人民元に縮小したものの、主力の通信キャリア向け設備が16.7%増の665億8440万人民元に拡大した。通信キャリア向け設備では、FDDシステムや5G設備が好調だった。利幅の大きい通信キャリア向け部門の売上構成比が拡大したことで、全体の粗利益率は31.4→35.1%(↑3.7ポイント)に改善している。
 世界各地で5G通信サービスの商用化がスタートする中、同社は5G産業が向こう5年にわたる発展期を迎えたと期待。通信キャリアのネットワーク建設支援やコンシューマー向け端末の投入などに力を入れていく方針を示している。一方、新型コロナウイルス感染拡大については、現時点で会社の財務や経営状況に大きな影響は出ていないと説明した。
ZTEは自主ブランドの各種通信機器、端末を生産。中国移動、中国聯通、中国電信など、国内通信キャリアを大口顧客に持つ。新事業開拓にも意欲。14年9月、東風汽車グループと提携し、EVバス向けワイヤレス充電の実用化を目指すと発表。16年7月には、子会社の中興智能汽車(ZTEスマートオート)を通じ、広東省に拠点を置くEVバスメーカーの珠海広通客車を買収した。


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