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  ニュース     2019/11/14 18:59

テンセント7〜9月期は3四半期ぶり減益、売り上げも予想下振れ(詳報) 無料記事

 インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)は13日引け後、2019年第3四半期(7〜9月)の業績を発表し、純利益が前年同期比12.6%減の203億8200万人民元(約3160億円、希薄化後EPS:2.127人民元)に縮小したと報告した。売上高は20.6%増の972億3600万人民元。純利益、売上高ともに市場予想(それぞれ235億3100万人民元、990億4400万人民元)を下回った。ゲーム、オンライン広告の両事業が減速する中、3四半期ぶりの減益に転じている。
 部門別では、スマホゲームを含む付加価値サービス(VAS)の売上高が14.9%増の506億2900万人民元、決済サービスやクラウドなどのフィンテック・企業サービスが35.9%増の267億5800万人民元、オンライン広告が13.0%増の183億6600万人民元で推移。VAS部門のうち、スマホゲーム事業の売上高は25%増の243億人民元とプラス成長を維持したが、増加率は前四半期の26%をやや下回った。自主開発のバトルロイヤル(生き残り)系最新ゲーム「和平精英」が売り上げ貢献を開始したほか、夏季休暇の繁忙期に当たったものの増収ペースが下振れたことに対して、市場関係者の一部では失望感が示されている。また、オンライン広告部門の増収率も前四半期の16.3%から一段と鈍化。中国の景気減速を背景に、メディア広告収入が28%減少したことが響いた。
 ただ、これら各事業が基盤とするスマホ向けメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」のユーザー数は増加が続く。同アプリの月間アクティブユーザーは、9月末の時点で前年同期比6.3%増の11億5100万人に伸びた(前四半期比では1.6%増)。一方、同社の看板サービスであるIM(インスタント・メッセンジャー)「QQ」の月間アクティブユーザー数は8.9%減の7億3100万人(前四半期比9.5%減)となった。
 1〜9月期の業績は、売上高が前年同期比19.2%増の2715億2200万人民元、純利益が11.2%増の717億2800万人民元(希薄化後EPS:7.486人民元)で推移している。
 スマホゲーム事業について同社は、「和平精英」の貢献がまだ初期段階にあると説明。また、海外向けゲーム「PUBG Mobile」の月間アクティブユーザー数が前年同期比で倍増したことや、新ゲーム「Call of Duty:Mobile」が配信開始から1カ月で1億ダウンロードを達成したことに言及した。当局が足元で未成年規制を強化していることに関しては、同社が17年から独自の規制システム「健康系統」を導入している点に触れ、「影響は限定的」との見方を示している。
 一方、オンライン広告に関しては、一部メディアで市場競争の激化が指摘された。動画共有アプリ「ティックトック」を提供する北京字節跳動科技(バイトダンス)など、新興勢との競争は今後も激しさを増すとみられている。
 テンセントはネット・モバイル関連の付加価値サービス、ネット広告、Eコマースを収益の柱とする。看板商品のIM「QQ」で築いた膨大な顧客基盤とブランド力を背景に、SNS、ミニブログ、オンラインゲームなど次々と新分野を開拓してきた。足元では、スマホ向けメッセージアプリ「微信(ウィーチャット)」の利用者が11億人を突破。同サービスを基盤に、各事業の収益を伸ばしている。


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