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  ニュース     2020/05/22 18:59

中国「バーチャル展示会」勃興、アリババや騰訊が技術提供 無料記事

 新型コロナウイルス大流行を契機に、中国でバーチャル市場が盛り上がりをみせている。オンライン上のファッションショーや音楽コンサートに続き、今度はバーチャル展示会が実現した。上海市政府はこのほど、中国Eコマース大手の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE)と緊密に提携。上海市にバーチャル展示会を手掛ける事業会社「雲上会展有限公司」を共同設立すると発表した。各業界・業種を網羅したバーチャル展示プラットフォームを構築。デジタル技術を駆使してグローバル貿易の発展に貢献していくビジョンを披露している。21世紀経済報道が21日付で伝えた。
 その初舞台として、このほどバーチャル自動車見本市を開催。上海汽車集団傘下のプレミアムブランド「栄威(ROEWE)」の新型コンパクトSUV「RX5 PLUS」や、フォルクスワーゲン(VW)の新型電動コンパクトSUV「ID.4」、フォード「マスタング」2020年モデルなどの新車がアリババ通販サイト「天猫(Tモール)」にずらりと展示された。
 展示会業界の特性を踏まえ、アリババはバーチャル展示会の開催に系統的なソリューションを提供していく方針だ。3Dモデリングや「AR(拡張現実)」、「MR(複合現実)」などの技術を活用し、クラウド・コンピューティング部門の「阿里雲(Alibaba Cloud)」を通じて内外出展企業に臨場感あふれる展示・取引の場を提供。世界市場をバーチャル上で構築する。
 上海市国際貿易促進委員会の周敏浩・会長は「世界が中国を知る窓口として、上海市は最新製品や技術を呼び込む責任と使命がある。リアル世界のルートが停滞するなかでも、技術とオンラインのリソースを活用すれば新たなチャンスを見い出すことは可能だ。バーチャル展示プラットフォームはその出発点になる」と意気込んだ。
 統計によると、上海市で1年間に開催される各種展示会は1000回近くを数え、展示面積ベースで累計2000万平方メートルに迫る規模。不動の「世界最大見本市開催都市」となった。「世界ランキングTOP100」に入る展示会のうち、中国開催は22回を数え、うち上海で過半の12回を占める。
 新型コロナ禍に見舞われるなか、6月に開かれる中国最大規模の展示商談会「第127回中国進出口商品交易会(広州交易会)」に関しても、今年はバーチャル開催されることが決まった。騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が技術支援を提供する。
 中国政府もバーチャル展示を奨励する立場だ。商務部弁公庁は今年4月13日、「展示会サービスモデルの刷新、展示会発展エネルギー育成に関する関連作業通知」を公表。5G(第5世代移動通信システム)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、ビッグデータなどの情報技術手段を充分に活用した展示会や商談会の開催を推進すると表明した。


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