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  ニュース     2020/05/07 18:59

中国:地方政府が相次ぎFCV産業支援、国家政策追い風 無料記事

 新エネルギー車(NEV)普及推進対象のひとつに定めた燃料電池自動車(FCV)に関して、中国の地方政府が関連産業に対する支援度を強めている。中央政府がFCV普及加速に向けた各種政策を矢継ぎ早に発表したことに呼応。FCV産業を成長モデル転換の新エンジンとして発展させる構えにある。盖世大V説が6日付で伝えた。

 常熟市(江蘇省蘇州市)は4月26日、「水素燃料電池産業発展の若干政策措置」を公表。FCVのモデル応用推進プロジェクトを重点支援していく方針を示した。水素ステーションの建設・運営事業に補助金制度を設けるほか、FCVサプライチェーン向けの投資を奨励する立場。技術イノベーションセンターやハイレベル研究機関の設立も奨励し、FCV開発を促す。

 部品産業も支援。市が指定するFVC重要部品生産プロジェクトに対し、土地使用料や工場建屋の賃料を優遇する新制度を導入する。関連人材の育成も奨励すると明示した。

 一方、河南省は4月29日、「水素燃料電池車産業発展行動プラン」を公布。省内のFCV関連産業について、2025年の生産額を1000億人民元(約1兆5000億円)超までに引き上げるとの目標を掲げた。まずバスやトラックなどの商用車分野でFCV導入を促進。重点都市から放射上にFCVテスト導入を推進していく計画を明示している。

 中国政府はFCV産業を重点国家戦略の1つに選定した。李克強首相による19年3月5日の第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議・政府活動報告で、「充電・水素充填設備の推進」を明示。政府活動報告に「水素エネルギー」の文言を初めて盛り込んだ。当局が定めたロードマップに基づけば、20年までの2年間だけでも、充電ステーション100カ所を整備する必要がある。中国全体で総額1000億人民元以上の巨費が投じられる見込みだ。

 先ごろ発表した19年版・新エネルギー補助金制度に関しても、EVやPHVの補助金を大幅減額する一方、FCVは給付額を据え置いた。水素充填インフラの整備を加速する方針も明示している。

 中国汽車工業協会によれば、国内全体の19年FCV生産台数は前年比85.5%増の2833台に拡大。販売台数も79.2%増の2737台に伸びたという。


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