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  ニュース     2020/05/12 18:59

中国:江蘇省が車産業の発展モデル転換、NEV→ICVに軸足移行 無料記事

 対外貿易が活発な「貿易大省」である江蘇省が自動車産業の発展モデル転換を急いでいる。国内新車販売市場の成長頭打ちに加えて、突如襲来した新型コロナウイルス流行が企業の貿易活動に多大な変数をもたらしたため。IoV(車のインターネット)を主軸とした「インテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)」を省内産業形成の重点分野に掲げた。新型コロナショックも重なってNEV販売市場の成長に急ブレーキがかかるなか、今度は次世代カーとして中国政府が普及推進するICV産業でも国内先行発展を実現する戦略。自動車産業の転換・レベルアップを目指す構えにある。21世紀経済報道が12日付で伝えた。
 江蘇省の製造強省建設指導チーム弁公室は9〜10日にかけて、無錫市内で「IoV先導区の建設現場推進会」を開催。「2022年までにグローバル影響力を擁するIoVイノベーション策源地、および産業発展の先進地へと躍進する」との全体目標を掲げた。その3カ年行動プランとモデル10事業を発表している。
 IoVについて江蘇省工業情報庁の胡学同・副庁は、「多種先端技術が業界の垣根を越えて融合する新しい産業スタイルを形成する。通信、自動車、交通でそれぞれ1兆人民元(約15兆1000億円)規模のサプライチェーンを擁する周辺産業のけん引役になる」と指摘。モデルに指定する10事業に関し、高精度位置測定サービスやダイナミックマップ、スマート重点などの各領域で研究開発投資を創造すると期待した。その上で、今年は120億人民元を投じて、5万2000カ所の5G基地局を省内整備するとの計画を披露している。
 中国の新車販売は、2018年に28年ぶりマイナス成長に沈んだものの、江蘇省の自動車工業は安定運営を持続した。省内自動車工業企業2118社の同年実績は、本業本売上高、利益、新車販売がいずれも3年連続の全国TOPを飾っている。同省が掲げてきた「先回り戦略」が奏功した形。例えば新エネルギー車(NEV)分野では、発展好機を早期に掌握。NEV生産・販売台数と車載電池出荷量で全国をリードする存在へと躍進した。うち車載電池出荷量は全国の4分の1を占める規模にまで拡大している。
 江蘇省の輸出入額は、今年1〜3月に前年同期比9.5%減の9008億4000万人民元(約13兆6470億円)に落ち込んだ。完成車メーカーを含む輸入依存度の高い一部省内企業が比較的大きな経営圧力にさらされている。


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