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  ニュース     2020/02/25 18:59

中国:車企業の年間稼働7〜11日減、減産規模100万台超へ 無料記事

 新型コロナウイルスの感染拡大が中国自動車産業を揺さぶっている。完成車・部品メーカー300社を対象に実施した緊急アンケート調査の結果として中国汽車工業協会は、「新型ウイルス流行下の春節後操業再開遅延で、業界企業の今年通年稼働日数は例年との比較で平均7〜11日減る」との見通しを示した。感染発生源となった湖北省武漢市ではさらに深刻な影響が不可避だ。年間稼働日数が10日減ったと仮定すると、労働者不足や部品サプライチェーン混乱などの要因も加味すれば、業界全体で年間100万台を超える減産につながると試算している。中国新聞網が24日付で伝えた。
 中国汽車工業協会の発表によると、完成車メーカーの操業再開率は20日時点で75%にとどまる。しかも、帰省労働者の現場復帰遅延や部品調達難を背景に、一部ラインを動かすにとどめる限定生産態勢を余儀なくされる企業が多数派。生産正常化までの道のりは遠いという。
 感染が最も深刻な湖北省は、中国年間自動車生産の8〜9%を占める。さらに感染が広がっている広東省や浙江省なども中国自動車工業の“重鎮”とみなされる重要拠点だ。これら3エリアには、車部品企業も密集。完成車メーカーの生産に直接の影響を及ぼしている。
 影響は中国だけにとどまらない。外電報道によると、中国からの部品調達が細るなか、英自動車最大手のジャガーランドローバーは中国製部品を空輸に切り替え。生産維持に努めているものの、手持ち在庫は生産2週間分にとどまるという非常事態に陥った。
 独部品大手ボッシュは、2017年との比較で20年の世界自動車生産台数は1000万台近くも減少し、8900万台前後まで落ち込むと予測。3年連続のマイナス成長を余儀なくされると悲観した。この難局が数年内に大きく改善することはないと分析。向こう5年にかけてゼロ成長が続く可能性も指摘している。
 こうしたなか、中国政府も基幹産業である国内自動車産業の企業支援に乗り出した。工業和信息化部(工業情報化部)と国税総局は21日、最新の「車船税減免優遇対象となる省エネ・新エネルギー車型式リスト」を公布。比亜迪(BYD:1211/HK)や吉利汽車HD(175/HK)を含む複数企業製品に減税対象を拡大した。


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