全国工業企業の利益総額は2020年5月、前年同月比6.0％増の5823億4000万人民元（約8兆8182億円）に伸びた。小幅ながら昨年11月以来、6カ月ぶりにプラス成長を回復している。1〜5月の累計では、前年同期比19.3％減の1兆8434億9000万人民元。減少率は1〜4月の27.4％から8.1ポイント縮小した。中国国家統計局が28日に報告した。
　新型コロナウイルス流行を受けて、工業企業の利益総額は今年1〜2月に前年同期比で38.3％減少。現行の統計が遡れる2010年以降で、最大の落ち込みを記録していた。ただ、その後は徐々に下げ幅が縮小。統計局の専門家によると、5月は◆コスト圧力の低減、◆工業製品価格の上昇、◆石油、電力、化工、鉄鋼など重点業界の業績回復――といった要因により、小幅ながらプラス成長を回復した。
　ただ、利益の回復傾向が持続するかは引き続き観察が必要とのスタンスだ。同専門家は、新型コロナウイルス流行の影響で需要は依然として弱いと指摘し、全国工業企業の売上高の伸びが5月に前月比で鈍化した点などに言及している。
　経営形態別では、国有企業・国有持株会社の1〜5月利益が39.3％減の4404億2000万人民元、株式制企業が19.2％減の1兆3478億8000万人民元、外資系企業（香港・台湾・マカオ資本を含む）が18.4％減の4659億2000万人民元、私営企業が11.0％減の5607億3000万人民元で推移した。
　業種別では、41種のうち10種で増益、30種で減益、1種で前年並み。増益業種では、コンピューター・通信・その他電子設備製造が34.7％、農業副食品加工が19.0％、専用設備製造が16.6％などと高い伸びを示した。半面、石油・天然ガス採掘が75.8％、化学原料・化学品製造が38.6％、自動車製造が33.5％、電気機器・器材製造が11.6％ずつ減少している。


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