ニュース 2020/06/29 18:59
日中韓「三国時代」の車載電池業界、開発競争が激化
経済・統計
世界最大の電動車市場に躍進した中国で、車載電池業界の競争が一段と熾烈度を増している。中国企業を優遇してきた新エネルギー車(NEV)補助金の減額政策が推進されるなか、日韓勢の対中投資は再び活発化してきた。足元の車載電池市場は、中国勢の寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ)と比亜迪(BYD:1211/HK)、韓国勢のサムスンSDI、LG化学、SKイノベーション、日本勢のパナソニック(6752/東証)がしのぎを削る、日中韓「三国時代」の局面が形成されている。21世紀経済報道が29日付で伝えた。
中国事業によって収益化を実現したテスラ(TSLA/NASDAQ)と同様に、日韓電池企業も中国マーケットを最重要視。今年1〜3月にかけてパナソニックとLG化学は、中国産テスラ向けの電池供給を通じ、中国車載電池業界のトップ争いに参戦した。出荷量でCATLの背中はまだ遠いものの、BYDとほぼ同規模レベルまでに現地競争力を高めている。
一方、中国の能力増強と、現地完成車メーカーとの提携加速につれて、中国車載電池マーケットの競争構図を変え得る存在になってきた日韓勢に対して、CATLは余裕の構えにある。「エネルギー密度、充電速度、リサイクル寿命などの各指標で、自社製品は他社をしのぐ競争力を備えている。コスト面でも外資勢に備わっていない大規模調達網を構築した」と強調した。
CATLは、新技術開発に余念がない。2019年9月のフランクフルトモーターショーで、エネルギー密度を格段に高められる「CTP(Cell-to-Pack)」の技術プラットフォームを披露した。従来のモジュール部品を排除することで、電池パックの体積利用率を従来比15〜20%引き上げ。電池パック部品数を40%削減する一方、生産効率を50%高めた。エネルギー密度を10〜15%高めた上で、製造コストを大幅に引き下げたという。
また、CATLの曾毓群・董事長は先ごろ、連続耐用年数16年、保証走行距離200万キロメートル(?)に達する超長寿命タイプ車載電池の開発に成功したと宣言。近く量産を始めると報告した。曾董事長は、「コバルトフリー電池の技術も積み上げている」と補足説明している。
CATLに対抗心を燃やしているBYDも、高性能次世代電池を開発した。リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFe電池)をベースとした新型電池「刀片電池」を発表。安全性と寿命を両立させたとアピールしている。LiFe電池は正極材にコバルトを使用しないだけに、業界関係者の間では、「コバルトフリー電池開発を急ぐテスラを一歩リードした」との見方も浮上した。
中国勢は海外進出の足取りも速めた。CATL、BYDともに欧州進出計画を掲げている。CATLは19年10月、ドイツ・テューリンゲン州で海外1カ所目工場を着工した。ドイツを中心に、米国、フランス、日本、カナダをベース拠点とする海外供給地ネットワークを構築するグローバル化戦略を立てている。
19年の中国車載電池出荷シェア(車両搭載ベース)は、CATLが41.6%で断トツの首位。5割近くを掌握した。中国の巨大市場と現地構築された有力サプライチェーンを強みに、CATLは足元で「利益率最大電池メーカー」の地位も確保している。19年は45億6000万人民元(約691億円)の純利益を稼ぎ出した。低収益、さらには損失状態にある同業大手を業績面でも大きく突き放している。LG化学とサムスンSDIの韓国2社は、18年にようやく収支均衡点を超えたばかり。SKイノベーションはいまだ損失から抜け出せていない。パナソニックの電池部門も依然として営業赤字の状態だ。
内容についてのお問い合わせは<info@ashuir.com>まで。
中国事業によって収益化を実現したテスラ(TSLA/NASDAQ)と同様に、日韓電池企業も中国マーケットを最重要視。今年1〜3月にかけてパナソニックとLG化学は、中国産テスラ向けの電池供給を通じ、中国車載電池業界のトップ争いに参戦した。出荷量でCATLの背中はまだ遠いものの、BYDとほぼ同規模レベルまでに現地競争力を高めている。
一方、中国の能力増強と、現地完成車メーカーとの提携加速につれて、中国車載電池マーケットの競争構図を変え得る存在になってきた日韓勢に対して、CATLは余裕の構えにある。「エネルギー密度、充電速度、リサイクル寿命などの各指標で、自社製品は他社をしのぐ競争力を備えている。コスト面でも外資勢に備わっていない大規模調達網を構築した」と強調した。
CATLは、新技術開発に余念がない。2019年9月のフランクフルトモーターショーで、エネルギー密度を格段に高められる「CTP(Cell-to-Pack)」の技術プラットフォームを披露した。従来のモジュール部品を排除することで、電池パックの体積利用率を従来比15〜20%引き上げ。電池パック部品数を40%削減する一方、生産効率を50%高めた。エネルギー密度を10〜15%高めた上で、製造コストを大幅に引き下げたという。
また、CATLの曾毓群・董事長は先ごろ、連続耐用年数16年、保証走行距離200万キロメートル(?)に達する超長寿命タイプ車載電池の開発に成功したと宣言。近く量産を始めると報告した。曾董事長は、「コバルトフリー電池の技術も積み上げている」と補足説明している。
CATLに対抗心を燃やしているBYDも、高性能次世代電池を開発した。リン酸鉄リチウムイオン電池(LiFe電池)をベースとした新型電池「刀片電池」を発表。安全性と寿命を両立させたとアピールしている。LiFe電池は正極材にコバルトを使用しないだけに、業界関係者の間では、「コバルトフリー電池開発を急ぐテスラを一歩リードした」との見方も浮上した。
中国勢は海外進出の足取りも速めた。CATL、BYDともに欧州進出計画を掲げている。CATLは19年10月、ドイツ・テューリンゲン州で海外1カ所目工場を着工した。ドイツを中心に、米国、フランス、日本、カナダをベース拠点とする海外供給地ネットワークを構築するグローバル化戦略を立てている。
19年の中国車載電池出荷シェア(車両搭載ベース)は、CATLが41.6%で断トツの首位。5割近くを掌握した。中国の巨大市場と現地構築された有力サプライチェーンを強みに、CATLは足元で「利益率最大電池メーカー」の地位も確保している。19年は45億6000万人民元(約691億円)の純利益を稼ぎ出した。低収益、さらには損失状態にある同業大手を業績面でも大きく突き放している。LG化学とサムスンSDIの韓国2社は、18年にようやく収支均衡点を超えたばかり。SKイノベーションはいまだ損失から抜け出せていない。パナソニックの電池部門も依然として営業赤字の状態だ。
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