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  ニュース     2019/12/12 18:59

アップルの中国1カ所目DC、貴安新区で間もなく稼働 無料記事

 米アップル(AAPL/NASDAQ)の中国1カ所目データセンター(DC)が間もなく稼働する。10億米ドル(約1080億円)を投じた「苹果中国(貴安)数据中心プロジェクト」は、貴州省の貴陽市と安順市の間に位置する貴安新区で進行中。「iCloud」の中国ユーザーにサービスを提供する。中国新聞網が伝えた。

 中国南方エリアをカバーする同DCでは、外部と接続された110キロボルト送電線が通電し、11日から正式な電力供給がスタート。設置済みの電子機器類が稼働した。途切れることのない高信頼度サービスを提供するために、送電線2本を用意している。より高速で信頼性が高い現地サービスに乗り出す。米国、欧州に続く3カ所のアップルDCとなる予定。この背景には、海外サーバーの利用を規制する中国の関連法規がある。

 アップルは2017年12月、貴州省にiCloudサービスDCを整備すると発表。ビッグデータ技術に強みを擁する雲上貴州大数据産業発展有限公司(雲上貴州)と提携し、セキュリティー対策を強化した施設内に画像や映像、文書などのデータを保管する構想を披露した。中国のiPhoneユーザーは17年7月時点で2億4300万人。全世界に分布するiPhoneユーザーの33.3%を占めていた。

 さらにアップルは18年に、中国2カ所目のDCを整備することで内モンゴル自治区の烏蘭察布市(ウランチャブ市)と覚書を締結。「iCloud中国北方数据中心(iCloud中国北方DC)」プロジェクトを立ち上げる計画を打ち出した。20年の稼働を想定する。消費電力はすべて再生可能エネルギーを利用し、環境対策を重視する予定。ウランチャブは潤沢な電力資源を擁し、年間の平均気温も4.3度と低く、DCの好立地と判断したとみられる。内モンゴル中部のウランチャブは、同自治区のなかで北京に最も近い。さらに緯度と経度の全地球的な観点からみても、DC運営に最も適した“黄金エリア”だ。

 ウランチャブ市政府はDC誘致を推進。すでに阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング:BABA/NYSE)、華為技術(Huawei Technologie)、北京中聯利信科技(cnispgroup)を引き入れた実績を持つ。ビッグデータ産業を振興する「デジタル・ウランチャブ」構想を立ち上げた。

 アップルはiCloudサービスを中国投入したものの、サーバーを米国に置いていたために速度は緩慢。問題の改善を狙い、14年8月に中国電信と業務提携した。中国電信傘下の中国電信雲計算公司を通じ、iCloudサービスを展開してきた経緯がある。

 中国政府は17年初め、外資系クラウド会社に対し、年内に新たな営業ライセンスを取得するよう要求。さらに17年6月1日には、ネット分野の安全保障を目的とした「中国人民共和国網絡安全法(サイバーセキュリティ法)」を正式施行。その37条では、「情報インフラ施設の運営者は、中国で収集した重要個人データを国内に保管しなければならない」と規定している。これによって中国に進出するIT各社は対応に迫られた。


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