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  ニュース     2020/09/02 18:59

中国:業績悪化のNEV関連業界、下半期は回復局面へ 無料記事

 中国の新エネルギー自動車(NEV)産業が調整期を迎えている。完成車メーカーや動力電池メーカーの上半期業績は、各社で軒並み悪化しているのが現状だ。ただ、販売市場では回復の兆しもみられる。今年下半期は経営環境の改善が進行する可能性が指摘された。21世紀経済報道などが9月1日付で伝えている。
 補助金の減額などが影響し、中国のNEV販売はマイナス成長を余儀なくされている。業界大手の北汽藍谷新能源科技(BAIC BluePark New Energy Technology:600733/SH)は、今年上半期の業績が急ピッチに悪化した。売上高は前年同期比68.94%減の31億1200万人民元(約483億円)に低迷。6900万人民元の黒字を確保した前年同期から一転し、18億6300万人民元の赤字計上に迫られた。北汽藍谷の1〜6月NEV販売は、前年同期比77.44%減の1万4700台に落ち込んでいる。
 比亜迪(BYD:1211/HK)は増益を達成したものの、販売不振で減収を余儀なくされた。BYDのNEV販売は58.34%減の6万700台に低迷している。全体の売上高は2.7%減の605億300万人民元、純利益は14.29%増の16億6200万人民元で推移した。NEVの不振を別部門が補完したためという。
 一方、リチウム電池メーカー大手の寧徳時代新能源科技(CATL:300750/SZ)、合肥国軒高科動力能源(国軒高科:002074/SZ)、孚能科技カン州(688567/SH)も不振。各社の上半期業績は、寧徳時代が売上高7.08%減の188億3000万人民元、純利益7.86%減の19億3700万人民元に縮小した。国軒高科は売上高32.85%減の24億2200万人民元、純利益89.72%減の3613万人民元。孚能科技は売上高が71.83%減の2億8500万人民元に縮小し、純損失1億7500万人民元と赤字転落した。
 ただ、中国のNEV市場には回復の兆しが見えている。業界団体の中国汽車工業協会によれば、今年7月の実績は、月次ベースで今年初のプラス成長を達成した。7月は前年同期比で生産が16.5%増の概算10万台、販売が19.3%増の9万8000台に達している。今年1〜7月にかけた年初来の累計では、NEVの生産が31.7%減の49万6000台、販売が32.8%減の48万6000台で推移した。大都市圏を中心に、米テスラは販売が急ピッチに伸ばしている。
 同じく中国汽車工業協会の資料によれば、今年1〜6月かけた動力電池の国内動向は、前年同期比で蓄電容量ベース生産が45.8%減の23.5GWh(2350万kWh)に低迷。販売量が41.7%減の21.3GWh、新規車載量が41.8%減の17.5GWhにまで縮小した。
 ただ、海外の完成車大手は中国の動力電池メーカーに対する着目度を高めている。フォルクスワーゲンは国軒高科に、ダイムラーは孚能科技にそれぞれ出資した。本格的な出荷が始まれば、新規の車載量が大きく伸びる可能性があるだろう。


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