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  ニュース     2020/03/04 18:59

中国:社債デフォルト累計29本、年初来で6200億円規模 無料記事

 中国企業の発行した社債の債務不履行が続いている。年初来の累計では、足もとで総額が400億人民元(約6200億円)規模を超えた。新型コロナウイルスの感染拡大による混乱も重なるなか、年初から3月3日までの間に社債29本のデフォルトが報告されている。複数の中国メディアが伝えた。

 北京大学系IT企業の北大方正集団有限公司は2月19日、北京銀行が申請した方正集団の清算・再建案が北京第一人民法院(地裁)によって受理されたと発表。21日、社債保有者は4月21日にまでに管財人に届け出るよう求めた。関連する未償還社債は合計24本。これらは総額で365億4000万人民元に達している。

 直近では、北京桑徳環境工程有限公司、中城建集団、中信国安集団が社債償還リスクを相次ぎ公表した。桑徳環境工程は2月25日、湖北省の複数現場で春節後の工事再開が遅延していると報告。キャッシュフローが細るなか、「19桑徳工程SCP001」の元本償還日を当初予定の2月25日から11月20日に先送りすると通知した。その間は年利7.0%で計算する。その後、「17桑徳工程MTN001」の返済計画変更も予告。1年満期の社債を新たに発行したうえで、「17桑徳工程MTN001」と交換すると発表した。

 このほか別の事例もある。「18中融新大MTN001」の利払いが接近する中融新大集団有限公司はこのほど、金利の引き下げに向けて、債権保有者と取引所外で交渉に入ると明らかにした。

 中国企業社債の債務不履行は、2014年に近年で初めて発生。2018〜19年にかけては、件数と規模が膨らみ続けた。金融情報ベンダーWindの統計によれば、19年通年の社債デフォルトは、合計179本の総額1444億800万人民元の規模。18年実績の125本、1209億6100万人民元と比較し、それぞれ43%、19%ずつ増えた。17年との比較では、デフォルト規模が4倍以上に拡大している。

 19年の社債デフォルトでは、「城投債」(都市建設債)の違約事例が着目された。内モンゴル自治区のフフホト市政府系の城投債が年末、債務不履行を余儀なくされている。専門家によれば、「城投債」のデフォルトは、地方政府系投資会社に対する投資家のリスク意識を高めさせた。各種社債の債務不履行は今年も19年並みの規模にまで拡大する可能性がある。多くの投資家は民営企業社債や低格付社債の購入を控える見通しという。


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