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  ニュース     2019/12/20 18:59

中国:「NEV中古車」成長停滞、各メーカーが“残価率引き上げ”腐心 無料記事

 電動車販売の世界最大マーケットに躍進したにもかかわらず、中国のNEV中古車市場は黎明期から抜け出させていない。極端に低い残価率がボトルネックとなるなか、「売り手側のNEVオーナーは愛車を売りたがらず、買い手側の中古車業者は買い取りを拒否して手を出さない」といった負のスパイラルに陥っている。毎日経済新聞がこのほど伝えた。
 中古車業界では、ガソリン車の場合、売りに出してから1カ月内で取引成立する確率が4割を超えるが、これがNEVになると1割に届かない水準にまで低下する。NEVは走行距離からバッテリーの劣化程度を判断するのが難しいため。消費者はNEV中古車の品質に懐疑的だ。NEVは航続距離やバッテリー技術の世代交代が速いことも中古車不人気につながっている。
 中国汽車劉流協会がまとめた「2019年11月中国自動車残価率報告」によれば、ピュア電気自動車(EV)の平均残価率は、3年落ち車で36.4%とガソリン車を大きく下回る。3年落ち車のNEV残価率ランキングをみると、テスラの「Model X」が63.9%でトップ。その他多くの中国産ブランド車は50%を軒並み割り込んだままだ。
 また中国汽車金融・残価率研究委員会のリポートによれば、1年落ちNEV中古車の残価率ランキングは、テスラ「Model X」(74.98%)、同「Model S」(71.42%)、ゼネラル・モーターズ(GM)・ビュイック「VELITE 5」(60.67%)、ボルボ「S60L」(58.43%)、BYD「宋DM」(58.05%)が上位5車に並ぶ。テスラ車を除く全ブランドが70%未満だ。ある中古車ディーラーは、「テスラのようなハイブランドであっても、EVを買い取る際はメーカー希望小売価格から30万人民元(約470万円)を無条件で差し引いた上で、査定を行う」と説明している。
 こうしたなか、NEV中古車市場は自動車メーカーが主要な買い手役を担っているのが実情だ。販促活動の一環として、中国のEVスタートアップ企業が「認定中古車」事業に相次ぎ着手している。自社EVの残価率を引き上げることでブランド力を高め、新車販売のてこ入れにつなげる狙いだ。
 威馬汽車技術(WELTMEISTER)は今年8月21日、自社基準に適合した認定中古車のオンライン販売を開始している。中古車を自社で直接買い取り、入念に整備・補修した上で、直接販売・リースする体制を整えた。品質保証期間も延長している。広州小鵬汽車科技(XIAOPENG MOTORS)も先ごろ、電動SUV「G3」19年モデルを対象に、中古車の買取・買い替え促進キャンペーンを導入。たとえば3年後の買取・下取価格について、販売価格の60%相当を約束するなどの販促活動を展開した。
 もっとも、ガソリン車と比較すれば、NEV中古車総数は依然として少ない。中国のNEV保有台数は足元で300万台程度と、ガソリン車中古市場が爆発的な成長を遂げた際の保有台数である8000万台に遠く及ばない水準だ。専門家は「NEV中古車市場の成長期入りは、自動車保有総数に占めるNEV比率が2割に到達することが最低条件」との見方を語っている。
 NEV中古車の査定基準に関しては、まもなく明確化される運び。中国汽車流通協会が18年に策定着手した「NEV乗用中古車鑑定評価技術規範」は来年初めにも公布される見通しだ。


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