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  ニュース     2020/01/24 18:59

中国:「スマホ買取」スタートアップ火花、1.6兆円市場争奪 無料記事

 中古スマートフォン(スマホ)の買い取りを手がけるスタートアップ企業が中国で急成長している。サービス名「回収宝」で展開する深セン回収宝科技有限公司、「愛回収」の上海悦易網落技術有限公司などの新興勢が資金調達を繰り返しながら、事業規模を拡大させてきた。2019年10月に5G商用サービスがスタートした中国では今後、スマホの買い替えが一段と加速する見通し。将来1000億人民元(約1兆5800億円)規模にまで拡大すると期待し、新興各社は中古スマホ回収市場の開拓を急いでいる。経済参考報が23日付で伝えた。

 中国の各大都市では、2年前ほどから、不要なスマホの査定、買取、現金支払いを行う無人端末が相次ぎ登場している。端末に表示されたQRコードをスキャンした上で、不要スマホを指定場所に置くと、わずか2分で査定が完了。提示金額に納得して取引を承諾すれば、スマホ内のデータが自動消去され、1分ほどで現金が支払われる仕組み。回収宝や愛回収が「スマホ回収ATM」として、設置を進めている。

 回收宝は深センの電気街「華強北」で14年に設立された。折しも中古スマホ取引市場が勃興した時期と重なっただけに、ライバル社も続々と登場。回收宝と同じくC2B(消費者→企業)モデルを採用する愛回収のほか、C2Cの「閑魚」や「転転」といったフリマアプリも台頭し、中古スマホ市場争奪戦の幕は切って落とされた。

 これら新興勢の背後には、電子商取引(EC)大手の存在がある。愛回収は19年7月に新ラウンドの資金調達を完了。京東集団(JD/NASDAQ)などから総額1億5000万米ドル(約164億3000万円)を調達した。京東集団にとって、愛回収は電子機器回収ビジネスで唯一のパートナーとなっている。また同年9月には、回收宝がシリーズC1の投資ラウンドで、阿里巴巴集団HD(Alibaba:9988/HK、BABA/NYSE)を戦略投資パートナーに迎え入れた。これに伴って回收宝は、「閑魚」などアリババ傘下の中古品取引アプリと連携。スマホ買い取りの実店舗ネットワーク構築に巨資を投じていく計画という。

 スマホ回収市場は“沈黙の巨大金鉱”とも称される有望市場だ。工業和信息化部(工業情報化部)の統計によると、2018年の中国スマホ出荷は、約4億1400万台に上る規模にまで拡大。これに伴って不要となるスマホは4億6100万台に達したと試算された。一方、足元では中国スマホユーザーの9割が不要スマホを自宅に放置したままの状態にあるという。

 市場調査会社のStrategy Analyticsがまとめたリポートによると、中国では今年、5G対応スマホの消費市場が本格的に立ち上がる見通し。スマホ販売に占める5G端末比率は向こう5年内で5割に迫ると予測されるという。


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