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  ニュース     2020/01/24 18:59

中国:零下30度でEV作動、北京新能源汽車が内モンゴル実験成功 無料記事

 冬場の低温環境下でも電気自動車(EV)の性能維持を確保する技術開発で、中国企業が大きな前進を遂げた。北京汽車集団(北京汽車:1958/HKの親会社)EV部門の北京新能源汽車股フン有限公司(BAIC BJEV)はこのほど、カモフラージュを施したテストモデル車を実験。外気温零下30度の極寒状況下でも、わずか313秒で搭載電池セルの温度をマイナス18度からプラス19度までに高めることに成功した。1分あたりの平均上昇幅は7度に達している。EVシステム、ヒートポンプエアコンとも正常に作動したという。車雲網が22日付で伝えた。

 EVは冬季の低温度時にエアコンを同時作動すると航続距離が短くなるという現象が克服すべき課題となっている。実験は2022年北京冬季五輪を想定し、内モンゴル自治区牙克石市で早朝6時に実施。極寒条件下でのバッテリー急速加熱とエアコンシステム作動の2項目を検証した。実験チームはこれに先駆けて、極寒条件下での駐車時バッテリー保温、遠隔充電保温、低温走行などの技術をすでに確立。実車に搭載したという。

 実験チームのメンバーである中国工程院の孫逢春・院士(アカデミー会員)は、「バッテリー急速加熱とエアコンシステム作動の2項目実験に成功した意義は大きい。中国製EVが全天候型バッテリー、低温エアコン、全天候型車両制御という重要3技術で世界をリードした事実を意味する」と表明。「近い将来、西北や東北など高原地帯などでもEVを販売できるようになるだろう」と展望した。

 実験チームが開発した技術は、微弱なエネルギーを用いた電池の自家加熱を実現するもの。これによってEV航続距離は気温マイナス10度では変化せず、マイナス20度で2.5%、マイナス40度で6%程度の低下に抑えることが可能だ。しかも技術構造がシンプルなだけに、すべての車両に応用できる。追加コストもそれほど高くないという。

 北京新能源汽車の馬倣列・総経理によると、今回の実験に用いた車両は自社のラグジュアリーブランド「ARCFOX」シリーズとして今年8月に量産予定の「ARCFOX ECF」という。

 今回の実験では、北京新能源汽車の乗用車2台と、同じく北京汽車傘下の商用車メーカーである北汽福田汽車(600166/SZ)の大型バス4台の現行モデル計4台についても同様に低温時のシステム・エアコン作動状況を検証した。停車48時間後でバッテリーは完全に凍結したという。

 一方、広州汽車集団(2238/HK)の馮興亜・総経理はこのほどメディア取材に応じ、「冬季低温環境下でのEVバッテリー容量低下問題を解決するため、全天候型バッテリーの開発を進めている」と表明した。新型EVに近く搭載される見通しという。


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