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  ニュース     2021/03/18 19:01

中国:FCV急ピッチ普及へ、1カ月半で調達700台近く 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】燃料電池自動車(FCV)に対する関心が中国で急激に高まっている。入札を通じたFCV調達は、今年1月1日から2月半ばまでの各地合算で700台近くに積み上がった。年初来の1カ月半だけで、2020年通年のFCV調達台数の8割水準に達し、20年FCV生産台数の半分を超えている。今年の「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)でも、FCVが脚光を浴びた。自動車業界に身を置く代表委員10人以上が燃料電池(FC)技術を挙国体制で推進するよう提言している。経済参考報が17日付で伝えた。
 グローバル自動車企業も中国市場の開拓に注力している。韓国現代汽車は1月15日、広東省広州市にFCシステムの生産・販売拠点を整備すると発表した。22年下半期の稼働を目指し、2月に着工している。自社初の海外FCシステム生産拠点として、当初は年間6500基を売る計画だ。すでにトヨタ自動車(7203/東証)は、聯合燃料電池系統研発(北京)有限公司を20年8月20日に発足させている。登録資本は約16億7300万円、投資総額は50億1900万円を見込んだ。出資比率はトヨタが65%、北京億華通科技股フン有限公司が15%、中国第一汽車股フン有限公司、東風汽車集団(489/HK)、広州汽車集団(2238/HK)、北京汽車集団が各5%。クリーンなモビリティ社会に貢献する商用車用の燃料電池システムの開発に取り組む。メルセデス、BMW、ホンダなどもFC分野の研究を加速中だ。
 中国メーカーの上海汽車、北京汽車、広州汽車、重慶長安汽車などもFCV技術の開発に取り組んでいる。うち広州汽車は20年7月、自社初のFC搭載乗用車を発表した。少量生産に着手する意向を示している。また、上海汽車は政府に対し、水素の生成、貯蔵、輸送、注入の各方面で中国統一基準を策定するよう提案。国の主導で水素戦略を策定するよう呼び掛けた。
 中国の財政部、工業情報化部など5部門は20年9月21日、FCV普及に向け、コア技術の開発などに奨励金を支給する制度を導入すると発表。まずモデル地域を選んで実施する方針を打ち出した。実施期間は4年間。従来の購入補助金制度を廃止し、関連産業の技術向上と育成を図る方向へとシフトする。
 工業情報化部の指導を受けた中国汽車工程学会は同年10月27日、「省エネルギー・新エネルギー自動車技術ロードマップ2.0」を発表した。35年時点の新車販売について、NEVの50%超えを想定した。NEVの95%以上を純電気自動車(EV)とする。このほか、燃料電池車(FCV)保有の100万台到達、省エネルギー自動車のハイブリッド燃料全面転換、商用車燃料の水素化を提言した。コネクテッドカーの普及増、高度自動運転の実現も図る。
 こうしたなか、中国では20年末までに地方都市40カ所以上がFC産業の振興策を公表した。上海市政府は今年2月25日、「NEV産業発展の実施計画(2021〜25年)」を公布。減税や人材支援などの補助政策を通じ、25年時点で同市のNEV生産120万台以上、生産額3500億人民元(約5兆8600億円)超に引き上げる戦略を明示した。生産額を上海自動車産業全体の35%超に引き上げることを目指す。1万台以上のFCV普及を目指す。各種水素ステーションの建設、供給は70カ所以上で、全ての重点エリアをカバーさせる予定だ。水素ステーションの他、バッテリーの交換・充電設備、スマート路側機などの重要プラットフォームは、新型インフラ建設の対象として普及を後押しする。


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