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  ニュース     2021/05/25 19:00

中国:公務員試験が競争苛烈、生活安定求め若者殺到 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】政府機関や地方政府の公務員試験で苛烈な競争が起きている。大卒以上の若者が安定を求めて各地で受験に臨んでいるのが実態だ。専門の就職塾も登場し、高額な費用をかけながら数年かけて受験するケースもみられている。中国青年報が21日付で伝えた。
 収入が安定して「食べるのに困らない」のを椀になぞらえ、公務員試験の受験者は「考椀族」と呼ばれている。国家公務員は「金椀」、省レベル公務員は「銀椀」、大型国営企業は「銅椀」、その他公務員クラスは「鉄椀」だ。2020年には157万6000人が受験資格審査に合格したが、募集枠との割合は61対1という狭き門となっている。「10人の募集枠に1000人が受験した」などの実例も散見された。
 こうした背景を受けて専門塾も開設されているが、一例では年間授業料が初年度で3万2800人民元(約55万円)となり、2年目はさらに値上がりする。筆記試験に通れば面接対策でも数千人民元から数万人民元の費用がかり、受験生側の負担は多大だ。
 関係者によると、近年の受験者は◆大卒以上の高学歴、◆低年齢化――の大きな特徴2つがある。新卒や卒業前学生も多く、2〜3年は専門塾に在籍して学ぶケースも少なくない。「各地で経済発展が進んだが、自身の専門性との相性から仕事探しが難しく、自分に合った仕事もないと考える若者が公務員を目指すのだろう」と分析されている。
 地方出身の受験生からは、「大都市での勤労はストレスも強く、生活コストも高く、企業によっては保障も薄い。より安定した職業を目指したい」、「北京出身ではないが、北京の公務員となれば市戸籍が得られる」などの声が聞かれた。
 こうしたなか、2021年の「両会」(全国人民代表大会と全国政治協商会議)期間中に一部の全人大代表から公務員試験の35歳以下の年齢制限撤廃案が上がったものの、「若者の就職がさらに厳しくなる」との反対意見がネット上で巻き起こった。統計では、中国の労働力人口(学生含む)の平均年齢が1985〜2018年にかけて32.2歳から38.4歳へと上昇している。国家統計局の最新人口統計でも、16〜59歳の労働年齢人口(8億8000万人)は平均年齢が38.8歳に達した。


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