HSBCやBNPパリバ、スタンダード・チャータード（スタンチャート）などが相次いで、人民元相場（対米ドル）の見通しを下方修正している。新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響を織り込んだ形だ。ブルームバーグがトレーダーやアナリスト11人を対象に行った調査では、人民元は向こう3カ月で1米ドル＝6.7人民元まで下落し、現在の水準から約2％下落すると予想されている。

　ルーミス・セイレス・インベストメンツ・アジアのアナリストは、首都・北京市でロックダウン（都市封鎖）が実施された場合、人民元相場がハードランディングする可能性があると懸念している。「足元の人民元安はまだ終わっていない」と述べ、年内に1米ドル＝6.85人民元、2023年には7.00人民元まで下落する可能性もあるとした。

　スタンチャートとクレディ・アグリコルは、人民元相場が今年6月末までに1米ドル＝6.70人民元まで下落すると予想。バンク・オブ・アメリカとTDセキュリティーズは年末までに6.80人民元を想定している。

　人民元のオンショア相場は4月28日、一時1米ドル＝6.6055人民元を付け、約1年半ぶりの元安水準となった。オフショア市場でも1年半ぶりの安値を付けている。


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