【亜州ビジネス編集部】世界初の商用海中インターネットデータセンター（IDC）が3月31日、海南省陵水リー族自治県の英州鎮清水湾に沈められた。沿岸ステーション、中継器、海底ケーブルなどで構成される。中核装置は円筒形のタンク状容器に収められた。容器の直径は3.6メートル、重量1300トン（乗用車約1000台相当）に上る。中国新聞網が3日までに伝えた。

　沿海部のデジタル経済を取り込む狙い。データ利用地とIDCの距離短縮化も図れるほか、冷却エネルギーを不要とするメリットは大きいと期待された。設計寿命は25年に定め、水深30メートル超でも稼働する。中国電信など9社とIDC利用で契約した。

　船舶用電子機器・システムの開発を手掛ける北京海蘭信数据科技（ Highlander Digital Technology：300065/SZ）は、子会社の深セン海蘭雲数据中心科技有限公司（Hi-Cloud）を2020年に設立した上で、水中データセンター「UDC（Underwater Data Center）」の研究に着手。30件以上の特許を申請した。UDCは陸上基地、光通信ケーブル、分電盤、収納庫、海水冷却システムなどで構成される。

　海蘭雲は2020年11月に、UDC原型機を組み立て、広東省珠海市沖の海底で小規模な実験に乗り出した。この実験では、PUE（Power Usage Effectiveness、IDC全体の消費電力/IT機器による消費電力）が1.076にまで抑えられるなど、21年の中国データセンター平均（1.49）を大幅に下回った事実が確認されたという。


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