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  ニュース     2023/06/09 10:55

米ドル高は持続困難、中国経済安定が元相場支援へ=人民銀副総裁 無料記事

 【亜州ビジネス編集部】中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝・副総裁は8日、米ドル高が長期的に続くことは考えにくく、中国経済の安定化が人民元相場を支援するとの見解を示した。同日の外国為替市場では、対米ドルのオンショア人民元(CNY)相場が一時1米ドル=7.142人民元を付け、約半年ぶりの元安水準を記録している。香港メディアの明報が9日伝えた。
 潘副総裁は8日の金融フォーラムで、4月中旬以降の人民元相場の変動は米国要因によるものと指摘。債務上限問題による米ドル高、中小銀行リスク回避スタンスの高まり、利上げ観測の高まりが主因との見解を示した。また、中国の景気不安定化も一因だが、中国経済は今後回復に向かう見込みと指摘。米国の利上げサイクルも終盤を迎えるなか、足元の米ドル高が長期的に持続することは考えにくいとの見方を示している。
 潘副総裁はまた、人民元資産には競争力があると強調。2年物国債からコアインフレ率を引いた実質金利は1.7%と、米国の実質金利に匹敵し、ドイツや日本などの先進国よりも高いと説明した。世界的なインフレを背景に、人民元債は分散投資の価値があるとみている。
 その上で、国境を越えた資本移動は、年初に流入超の状況からよりバランスの取れた状態に移行しているとの見方。人民元相場は合理的な水準で基本的に安定していると強調した。
 市場関係者の間でも、元安基調の転換を予想する声が上がっている。香港経済日報によると、中国国際金融(CICC)のアナリストは足元の元安について、米国のインフレ率と金利の上昇観測を背景とした米ドル高が主因と指摘。人民元相場は短期的には不安定な状況が続く可能性があるものの、下半期には上昇が予想されるとしている。


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