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  ニュース     2025/05/29 14:06

中国:「固体電池」少量納入スタート、ロボやeVTOLに搭載 無料記事

【亜州ビジネス編集部】各メーカーの「固体電池」が相次ぎ納期を迎えている。新型電池生産の合源リ創(蘇州)新能源科技有限公司は27日、建設ロボット開発の金皇冠智能科技(蘇州)有限公司に対し、固体電池パックを初納品したと発表した。固体電池が建設ロボット分野で大量納品される初事例となる。証券日報が29日付で伝えた。

 EV向けの大規模採用には依然課題があるものの、固体、半固体の新世代電池はその高エネルギー密度と安全性の高さを通じ、ニッチ市場で先行して活路を見出している。合源リ創だけでなく、蘇州徳加能源科技有限公司(Deegares)、金龍羽集団(002882/SZ)など多数の電池メーカーがドローンやeVTOL(電動垂直離着陸機)、ロボット、エネルギー貯蔵など多様な用途に着目。小ロットの納品を実現しつつあり、固体電池の商業化に向けた一歩を踏み出した。ドローンやeVTOLでは、長距離航行、軽量化、高出力、絶対的な安全性を兼ね備えた動力電池が求められている。

 合源リ創の開発した350Wh/kg固体電池は、従来のリチウム電池と比べたエネルギー密度が約2倍に上る。バッテリーパック重量の4割削減が可能だ。一方、金龍羽は5月28日、自社の固体電池とその主要材料の研究開発が一定の進展を遂げ、一部材料をすでに顧客にサンプル出荷したと発表。子会社の金龍羽新能源(深セン)有限公司を通じ、ドローン向け高エネルギー密度固体セルの売買契約を締結したと報告した。

 孚能科技カン州(688567/SH)は5月22日、半固体電池の製品をすでに量産出荷し、第1世代製品は2022年に車載化を実現。エネルギー密度330Wh/kg超の第2世代はサイクル寿命が4000回を上回り、25年中の量産を予定していると説明した。全固体電池についても、60Ahの硫化物系セルが25年末までに戦略パートナーに小ロット納品するという。

 ニッチ市場の固体電池納品は、同技術の産業化に向けた重要な成功例だ。現在納品された製品の多くが半固体、または準固体で、その規模は液体電池に比べて小さいものの、特定産業の課題解決を通じ、その価値と実用性を証明しつつある。


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