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  ニュース     2020/07/31 18:59

中国:コロナ失業者の希望「屋台経済」、月商19万円の若者も 無料記事

 中国で復活した「屋台経済」が人生の再スタートを目指すコロナ失業者の希望となっている。新型コロナウイルスの影響で失業者が急増するなか、中国政府はその受け皿として屋台経済を後押しするスタンスに方針転換。失業者の屋台出店に“お墨付き”を与えている。中国青年報が7月29日付で伝えた。

 今年24歳の王巍然さんも、屋台で日銭を稼ぐ失業者の一人だ。以前は河南省鄭州市のある企業でエンジニアリングとして働いていたが、コロナ下で月給が従来の3500人民元(約5万2200円)から2000人民元足らずにまで43%も急低下した。少なくとも月々に自動車ローン1350人民元と家賃1000人民元の合計2350人民元を支払わらなければならないにもかかわらず、新卒者として入社してから数カ月が経過した程度で、貯金はない。この企業に見切りをつけて、起業の道を選んだ。

 アパート付近の小広場で今年4月末、露店経営を開始している。当初は、「城管」(各都市で露天商の無許可営業や違法駐車などを取り締まる治安要員)の目を恐れて、夜間の短時間に店を出すのみだったが、政府の「屋台経済」振興策で風向きが変わった。鄭州市内のある商業施設が露天商向けにスペースを無料開放。同業の仲間ら20人余りとともに、第1陣の入居組となった。

 開業当初こそ、売れ行きは鳴かず飛ばずで、空き時間にライドシェアドライバーで稼ぐ“二足の草鞋”状態だったという。しかし、大学の宿舎暮らし時代に学生相手に菓子などを販売する“地下露店”をひっそりと営んだ経験などを生かし、経営は次第に軌道に乗った。今や2店舗を同時出店するまでになっている。足元の月収は1万3000人民元(約19万円)にも上るという。1店舗は時給12人民元で店番のアルバイトを雇った。

 しかしながら、「露店経済ブーム」は早くも熱が下がりつつある点も事実だ。彼と同時に出店した仲間らの一部は、すでに店をたたんだ。コロナ感染がピークアウトした現在でも、顧客の財布のひもは固いままという。

 王さん自身も、露店経営を「消費者と接し、市場を理解するための一歩」とみなしている。何ら社会保障がないだけに、露店商に転身してから3カ月が経過した現在は、別稼業への鞍替えも検討中だ。将来的には独自ブランドの立ち上げや、小売チェーン店の開設を夢見ているという。


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