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  ニュース     2020/01/21 18:59

中国「NEV補助」延長を示唆、20年打ち切り計画見直し 無料記事

 2019年の新エネルギー車(NEV)販売が初のマイナス成長に陥るなか、中国政府は2020年末の満了を予定していたNEV補助金の継続も視野に入れた再検討に着手する。工業和信息化部(工業情報化部)の苗ウ・部長が20日の会見で、「NEV補助金打ち切り政策の見直しを検討している。延長もあり得る」と表明した。

 「製造業の安定成長を確保し、内需潜在力を掘り起こすには、製品審査の重複管理問題を含めた自動車産業改革の促進と並行して、NEV市場の発展支援を継続していかなければならない」と説明。路線バスや物流トラック、タイムシェア、環境衛生車、公用車などに関し、廃車・更新時のNEVへの切り替えを奨励していくスタンスを改めて強調した。

 政策面では、「17年公布の『自動車産業中長期発展計画』を着実に実行していくとともに、『新エネルギー車産業発展計画(2021〜35年)』の策定を早期完了しなければならない」と表明。「『CASE』(コネクテッド、自動車、シェアリング、電動化)が車業界の潮流となるなか、NEV産業の融合とイノベーション、質的発展を堅持する立場だ」と強調した。

 今年の自動車生産・販売については、「生産・販売ともに2500万台程度を維持する」と予測。「前年比でゼロ成長、または若干のマイナス成長となる可能性もあるが、落ち込み幅は前年と比べて大きく縮小する」と展望した。

 中国のNEV販売をめぐっては、政府が策定中の中長期目標値に懐疑的な見方が浮上している。工業情報化部が19年12月に公布した「新エネルギー車産業発展計画(2021〜35年)意見募集稿」では、「25年のNEV販売比率を25%程度にまで引き上げる」との文言が盛り込まれた。北京理工大学エネルギー・環境政策研究センターはこれを「挑戦的な目標」と形容。18年の中国自動車販売実績(2808万1000台)で試算しても、NEV比率を25%に到達させるには通年販売702万台を確保しなければならない点を指摘した。これは、年間平均32%のハイピッチ成長を続けてようやく実現できる数字となる。しかしながら中国の電気自動車(EV)販売は19年下半期以降、この成長率をはるかに下回って推移。19年通年では前年比で4%減少し、初のマイナス成長に沈んでいる。

 中国汽車工業協会によれば、19年のNEV販売は前年比4.0%減の120万6000台に低迷。うち電気自動車(EV)が1.2%減の97万2000台、プラグインハイブリッド車(PHV)が14.5%減の23万2000台に落ち込んだ。新エネ車全体の生産台数は124万2000台で、前年を2.3%下回った。新エネ販売のマイナス成長は統計開始以来で初めて。12の月単月ベースでは、新エネ車全体の販売台数が前年同月比27.4%減の16万3000台、生産台数が30.3%減の14万9000台で推移した。


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