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  ニュース     2020/03/16 18:59

中国:国家級「次世代AIイノベ試験区」、重慶など4都市追加選定 無料記事

 中国政府が掲げる「新インフラ整備」の重点項目として、人工知能(AI)技術応用を巡る地方都市間の競争が激しさを増している。科学技術部は9日、重慶市、成都市、西安市、済南市に各4都市による「国家級次世代AI革新発展試験区」整備を支持すると発表した。これによって19年に承認を得ている北京市、上海市、天津市、深セン市、杭州市、合肥市、徳清県浙江省)を加えた11エリアが“先行モデル区”として次世代AIイノベーションレースを繰り広げていく構図。科学技術部では、こうしたAIイノベ試験区を23年に全国20エリアに増やす構想を掲げている。毎日経済新聞が12日付で伝えた。
 第1陣試験区は東部、中部エリアに集中していが、第2陣として加わった4都市は、うち3都市が西部エリアに属する。これ以前に公布された「2019年先進製造業発展白書・先進製造業のAI駆動力」によれば、西部エリア全体でみれば経済力に乏しいものの、重慶と成都の2都市は「AI発展潜在力ランキング」の上位10都市に入った。政策支援や豊富な人材リソースが強みという。今回、ともにAI試験区に選出されたことで、地域連携型のイノベーション発展を推進していく任務を遂行していくことになる。
 特に重慶市は、AI応用場面が豊富だ。内陸製造業の重鎮であるだけに、19年の域内総生産(GEP)は2兆3605億7700万人民元(約35兆8700億円)に拡大し、第4位の広州市との差を22億8300万人民元にまで縮めた。重慶のAI重点分野として科学技術部は、「技術開発と細分化産業での応用」を列挙。「山間都市特有のスマートシティ構築」を方針明示している。
 一方、成都市は19年公布の「成都市AI産業発展加速推進プラン(2019〜22年)」で、2022年のAI応用産業規模を500億人民元超、関連産業規模を5000億人民元超に引き上げる目標を設定した。
 他方、済南市は今回で2件目のAI関連プロジェクトを国から許可された格好となる。国家工業和信息化部(工業情報化部)は19年10月、山東省による「済南・青島AI革新応用先導区」整備を支援する方針を表明した。これは上海浦東区に続く中国2カ所目の「AIイノベ先導区」となる。
 ソフトウエア産業が集積する済南市は、すでにAI発展の基礎を固めた。重要技術から業界応用まで切れ目のないAI産業生態系を構築している。この生態圏には一定規模以上企業100社余りが連なり、AI産業規模は600億人民元に達した。なかでもAI計算能力は、済南市で国内シェア50%超を占める。
 中国共産党は3月4日の中央政治局常務委員会会議で、新規分野のインフラ整備に一段と傾注する国策を確認した。「中国7大新インフラ」として、AI(人工知能)、ビッグデータセンタ、IIoT(産業用IoT)、EV充電設備、5G、超高圧送電線、都市高速鉄道を提起している。
 中国が国家総動員で挑んでいる「新型コロナウイルス大戦」においても、AI技術はプレゼンスを高めた。ウイルス解析、ワクチン開発、検温、補助診断などの各分野で顕著な成果を上げたという。


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