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  ニュース     2021/10/25 18:00

中国:「固定資産税」一部で試験導入、実施都市は今後決定 無料記事

 格差是正を目指す「共同富裕」の一環として、中国政府は「不動産税」(個人向け固定資産税)の本格導入に着手する。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が23日、国務院に対して、不動産税を一部都市で試験導入する権限を与えることを決定した。具体的な実施都市は、国務院が今後決定する形。試験期間は5年に設定された。
 課税対象は居住用不動産(住宅)、および非居住用不動産(オフィスビルなど)。土地使用権の保有者、建物の保有者が課税対象となる。ただ、農村の宅地は対象外とされた。国務院が今後、モデル実施都市や税率などの詳細を決定する運びだ。
 モデル実施都市について、現地メディアの経済観察網は◆沿海部の経済発展都市、◆足元で住宅価格の上昇が目立つ都市――が選ばれる可能性が高いと分析。具体的には、深セン、杭州、上海などを挙げた。さらに同紙は、中国政府が今年5月に一部都市の責任者を招集して不動産税に関する座談会を開いたことに言及。同座談会には、上海、重慶、深セン、杭州、蘇州、済南の責任者が参加したとされる。
 一方、税率については1.0%以下に収まるとの予想が多い。英キャピタル・エコノミストのアナリストは、「0.7%」が適正税率だと指摘。0.7%の税率で試算すると、不動産税は年間1兆8000億人民元(約32兆円)の歳入をもたらす見通しで、これは地方政府の土地売却収入を上回る規模だとしている。
 不動産税は2011年に上海、重慶の2都市で試験的に導入されたが、建物のみの課税となっていた。うち上海では、市戸籍を持つ住民が2軒目以上の住宅を購入する場合、1人当たりの住宅面積が60平米を超えた部分に対して0.4%、または0.6%の税率が適用される仕組み(市戸籍を持たない場合は1軒目から課税)。重慶では税率が0.5〜1.2%に設定されている。


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